僕はうかつにも ひら仮名の 「む」 という文字は 漢字の 「無」 に由来しているものだと思っていた 念のためと思い調べてみたら 「む」 は 「武」 から来ていて 「無」 という文字とは無縁であることを知り なあんだそうだったのか、と思った 「む」 の文字はさておきその 「無」 の源をたどるってみると この文字はかなりな歴史をもっているらしく むちゃくちゃに複雑でたくさんの形がありすぎ なにがなんだかさっぱり判らない 手元の高価本 「てん刻字林」 によると 無の文字の書体にはその原初からそもそも異なった三体があって
|
と、いうのだからよけいわからなくなって まあ、結局のところ ゴチャゴチャ複雑でありすぎるからかえって無いのだ、と 思うことにしたが それにしても 無とは豊かにして亡びの意味であるとは 禅問答にも似て面白い解説ではある 僕はてん書体以前の古文ないしは鐘鼎金石文字の 十三にも及ぶ様々な 「無」 のなかから適当な一体を選び トンチンカンにも隷書体の筆法でおれを書して額装し 玄関の正面にデンと飾ってから久しい
|