帰 宅


霧雨。
盛りあがったアスファルトのゆるみ。
街路灯の油照り。
エッソ本部で濡れた旗はやわらいでいる。
この樫の木の扉。この樫の木の扉。

一万マイルにわたる内陸の霧は
平坦な壁にかかる巨大な玉石を湿らせ、
傾いた泥土の地層を侵略する霧のそよぎ。
その他にそこはなにもなく
食卓をぼやけさせている。
平板な鏡のなかの小さな束。
このペンキぬりの扉は悪霊どもを暴き
暗い家のなかに蜘蛛の巣張られ
我が家
そのステップは私自身のなかにと漂いこみ
10年は遅れている。

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