寒  さ


 地球は煤煙で毒されています。ひび割れたブロンズは
 風のなかにガラガラという音を置き去りにしています。キーキーという
 オークの木々の後に散らばる雲は、骸骨のような形の上の朽葉色の襟巻のなかに
 落ちこみはじめています。さようなら。最後の
 ことば。いちど私の手を握ってください。そう。
 私の生きてきたなかでこんな寒さに対しての
 用意はありませんでした ― すき間からの突風。あそこを見て。  ― カラスが
 塵のなかにパタパタと舞いおちて行っています。金色のなかに飛びさりました。
 
 なにを言ってみたところでもはや重要ごとではありません。
 なしてしまったことを変えうるものはないのです。
 落ちてくるこれらのことばは無意味なのです。鳥や葉や焚火や雲が
 去ってしまったあとで、ことばは何のためのものなのですか?
 
 私たち自身。ことばは私たちがしがみつくために作られた封印なのです。
 愛していました。けれど寒さから安全であるものは何もないのです。

 

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