世界の変化に対して私たちがこれまでに蓄えてきたすべてをもってしても
私たちを救うために十分ではないかもしれません。
私たちはすべてを失い得るのです。
シュロの葉の散らかったハレイワ海岸や
ガラスのようなアクアマリン
純粋なコバルト色の岩礁を険しく削る
広い冬の磯波。
風害からは安全な
ジェイムスタウンの裏庭の小さな木々
珊瑚色のマルメロ、早々と過ぎてゆくアプリコット、
防護壁の近くに散らばったリンゴ
花をおび ―
なべての花咲く枝々は、甘く、後に遅れて実を結ぶ。
エリーで私たちが住んだ家 ―
ドアの敷居、床板、階段、
それらの木材は私たちに踏まれて柔らかくなり、
私たちが親しんだガラスのトアーノブは太陽光を分解するプリズムとなり
揺れ動く窓ガラスを通って落ち、たくさんの色彩に分かれ
―
家具とじゅうたん、窓のカーテン、
私たちの心のなかの思い出を保ちつづける鏡、
そのなかで私たちが話しあい
互いを見いだしあった部屋々々。
これらはすべて私たちの歴史の手触りを帯び、
ゆっくりと私たちの生を同じ家の方向へと導いていく
けれど、私たちは持っているすべてを失い得、すべてが衰弱し得るのです。
私たちはあらゆる場所に住んできました、
けれどもこれからはこの地上に私たちの住むべき場所はないでしょう。
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