一人の男


 男は上体をそらせ、何事にも
 どっぷりと漬かり耐え
 大気、風、寒気を
 受け止めていた
 ばい煙のなかに赤く上る太陽 
 膝を曲げ
 深く深く身体をそらせ
 朝の光にその腕を広げ
 おおきく息を吐きだし
 内部の際だった静けさからの
 強い旋律は
 絶えず成長しつづけ
 固い地面のはるかかなた
 発育を阻害された木々のうしろに
 音はふくらみ
 その男のかなた
 急降下するハトの上空
 空に羽ばたこうとする
 その男が何者であろうと何を意図していようと
 男は気高く、孤高で、そして自由。

 

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