氷の花


  霧のほのかな光は
 
あたたかな山の背後をぼんやりとさせ、そして霧は
 
爽やかな風にのって海辺の方にとけながら
 
緑のうねりからスプレーのように吹き消えていく。
 
私には信じられない。
 
私は寒気を期待していた ―
 
氷の包葉をまとった雪の花々。
 
 
私たちはブーツを履いて湾の岸壁に立っていた。
 
砂をなめる冷たい海水は静まっていた。
 
雪片は凍てつく大気のなかに踊り、
 
茨の木々を被い、艶のある薔薇の実から滑り落ちた。
 
氷の中に立ち尽くし、私たちは互いにくっつきあい、
 
あなたの唇は赤く、あなたの息は温かく、あなたの顔は濡れ、
 
私たちはそこに立ち続けた。
 
 
凍った時間。
 
 
救うにあたいしない世界に
 
私たちは離れて生き。
 
年々、時は進み。
 
霧や海の靄のように私たちは年月のなかに消えていく。
 
花をつけず冬を耐えるどんな真紅の花々も
 
湧き起こる寒気を飾ることはない。

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