ひとり新地アイナホウにて


  私はもうあなたの名前を口にはしない。
 
オヒアの木々が牧場の草叢から聳え立つなかを
 
日の出の時刻に私が道を歩いているとして ―
 
風が灰にまみれたわき道を襲い
 
誰にも独力で引き返すこともできないそんなとき ―
 
夜の雨で
 
梱包用の針金の束やその間にかかった蜘蛛の巣や
 
そして柵用の皮をむかれた丸太の材木が濡れて光り
 
また農場のすべてのものが雨にあらわれて光り輝き
 
石やその上に生える地衣植物、溶岩の塊、
 
タンク、パイプ、ベンチ、離れの別館 ―
 
すべてが雨に濡れていて、私は身震いし、
 
太陽が上りはじめる、
 
けれども私は戻りはしない。
 
私はあなたの名前もすら口にはしない。

 

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