献詩 午 餐 横川秀夫 詩
( for Phyllis Hoge Thompson )
こうしてこの楕円形の食卓テーブルをへだててむかい合い
食前に白ワインなどを汲みながら
私はくつろいで脚を組み
椅子の背凭れに身を預け片手でフォークを使い
貴方は昔からそうであったようにきちんとして礼儀ただしく
慣れた両手でナイフとフォークを上品にこなし
たがいにどうでもいいような話をしながら時間は過ぎて行く
貴方はそこにそうしてあって
私はここにこうしてある
そのあるということすら不思議な気がするのだけど
満ち足りていて
なくしてしまった大切な写真のことなど思いながら
「世の中、安穏で、いいね」 と私が言うと
「そうかしら?」 と貴方は私の目を静かにみつめながら答え
「でも、私はあなたのことをとっても好きよ」 と貴方は言って
「うん、ぼくも」 とその視線をまっすぐに受けながら私は答え
この日曜日の昼下りに私たちは
こんなふうにしてテーブルにむかいあい何気なく
極めて自然でまっとうな話を静かにしている